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しょうねんのし
少年の死
豊島 与志雄
「新潮」1916(大正5)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,400 字 · 27 页
新しい印絆纒を着せて貰ったことよりもそれらのものが一層庄吉の心を引立たした。
庄吉は棟梁の側に行ってからこう云った。
「親方……。」
「何だい?」と答えて棟梁は庄吉の顔を見返したが、庄吉が其儘下を向いて了ったので唯微笑でみせた。
然しまた棟梁のことを何かと影口をきく者もないでもなかった。大留のうちには惣吉に専太という二人の年季奉公の小僧が居た。で庄吉は自然に彼等の方に親しんで行った。特に金さんが得意先に出かけて行った時や、何かにつけがみがみ叱りつける彦さんが居ない時など、彼は小僧達と一緒にこっそり薩摩芋を買って食べたりした。お小遣銭を持たない庄吉がいつも買いに走らせられた。
「うちの親方はぐずなんだい。」と惣吉はよくいった。「こないだの坂の上の旦那の家の建増しを大万の方に取られちゃったじゃねえか。働きが足りねえんだよ。俺が親方位になりゃあ、区内の仕事は一人で立派に引受けて見せてやるんだがな。」
「だが親方は偉いんだい。」と庄吉はいった。
「偉いのは偉いさ。ただ働きが足りねえんだよ。」
庄吉にはその意味がはっきり分らなかった。惣吉は得意そうにこんなことをいい出した。