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しょうねんじだい
少年時代
幸田 露伴
「今世少年 10月増刊号 今世英傑少年時代」1900(明治33)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,088 字 · 14 页
小供心にも盲目になるかと思って居たのが見えたのですから、其時の嬉しかったことは今思い出しても飛び立つようでした。最も永い病気で医者にもかかれば、観行院様(祖母)にも伴われて日朝様へ願を掛けたり、色々苦労したのです。其時日朝上人というのは線香の光で経文を写したという話を観行院様から聞いて、大層眼の良い人だと浦山しく思いました。然し幸に眼も快くなって何のこともなく日を過した。
夏になると朝習いというのが始まるので、非常に朝早く起きて稽古に行ったものです。ところが毎朝通る道筋の角に柳屋という豆腐屋がある、其処の近所に何時も何時も大きな犬が寐転んで居る。子供の折は犬が非常に嫌いでしたから、怖々に遠くの方を通ると、狗は却って其様子を怪んで、ややもすると吠えつく。余り早いので人通は少し、これには実に弱りました。或朝などは怖々ながらも、また今にも吠えられるか噛みつかれるかと思って、其犬の方ばかり見て往ったものだから、それに気をとられて路の一方の溝の中へ落ちたことがあった。別段怪我もしなかったが、身体中汚い泥染れになって叱られたことがある。其後親戚のものから、これを腰にさげて居れば犬が怖れて寄つかぬというて、大きな豹だか虎だかの皮の巾着を貰ったので、それを腰にぶらぶらと下げて歩いたが、何だか怪しいものをさげて居た為めで