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しょうねんじだい
少年時代
幸田 露伴
「今世少年 10月増刊号 今世英傑少年時代」1900(明治33)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,088 字 · 14 页
そうすれば先生のところから帰って来て後は直ぐ遊ぶことが出来るのですから、家の人達のまだ寝ているのも何も構うことは無しに、聞えよがしに復読しました。随分迷惑でしたそうですが、然し止せということも出来ないので、御母様も堪えて黙って居らしったそうです。此復読をすることは小学校へ往くようになってからも相替らず八釜敷いうて遣らされました。併しそれも唯机に対って声さえ立てて居れば宜いので、毎日のことゆえ文句も口癖に覚えて悉皆暗誦して仕舞って居るものですから、本は初めの方を二枚か三枚開いたのみで後は少しも眼を書物に注がず、口から出任せに家の人に聞えよがしに声高らかに朗々と読んで居るのです。而して誰も見て居ないと豆鉄砲などを取り出して、ぱちりぱちりと打って遊んで居たこともある。そういうところへ誰かが出て来ると、さあ周章て鉄砲を隠す、本を繰る、生憎開けたところと読んで居るところと違って居るのが見あらわされると大叱言を頂戴した。ああ、左様々々、まだ其頃のことで能く記臆して居ることがあります。前申した會田という人の許へ通って居た頃、或日雨が大層降って溝が開いたことがある。