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しょうねんれんめい
少年連盟
佐藤 紅緑
「少年倶楽部」1931(昭和6)年8月号~1932(昭和7)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 110,920 字 · 219 页
「モコウ、きみの気のせいだよ」
「いやいや」
とモコウは頭をふって、東のほうを指さした。
「陸です、たしかに」
「君の眼はどうかしてるよ」
「いや、ドノバン、霧が風に吹かれてすこしうすくなったとき、みよしのすこし左のほうをごらんなさい」
このとき煙霧は風につれて、しだいしだいに動きだした。綿のごとくやわらかにふわふわしたもの、ひとかたまりになって地図のごとくのびてゆくもの、こきものは淡墨となり、うすきものは白絹となり、疾きものはせつなの光となり、ゆるきものは雲の尾にまぎれる、巻々舒々、あるいは合し、あるいははなれ、呼吸がつまりそうな霧のしぶきとなり、白紗のとばりに夢のなかをゆく夢のまた夢のような気持ちになる。
霧が雨になり、雨が霧になり、雨と霧が交互にたわむれて半天にかけまわれば、その下におどる白泡の狂瀾がしだいしだいに青みにかえって、船は白と青とのあいだを一直線にすすむ。
「おう、陸だ」
富士男はさけんだ。見よ、煙霧の尾が海をはなるる切れ目の一せつなに、東の光をうけてこうごうしくかがやける水平線上の陸影! 長さ約八キロもあろう。
「陸だ! 陸だ!」
声は全船にあふれた。