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したいとみんぞく

屍体と民俗

中山 太郎

「デカメロン 第一巻第五号」1931(昭和6)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,651 字 · 8 页

青空文庫

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栃木県足利郡地方の村々では、死人があると四十九日の間を、その死人が肌に着けていた衣類を竿に掛け、水気の断えぬように水をかけるが、これを『七日晒し』と云うている。俚伝にはこの水がきれると、死人の咽喉が乾いて極楽に往けぬから、こうするのだと云うているが、元より信用することの出来ぬ浮説である。私の考えるところでは、この民俗はかつて同地方に住んでいたことのあるアイヌ族が、残して往ったウフイと云う蛮習が、こうした形で面影を留めているのだと信じたい。それではウフイとは如何なるものかと云うに、大昔のアイヌは死人があると、刃物を以て死者の肛門を抉り、そこから臓腑を抜き出し、戸外に床を設けてその上に置き、毎日婦人をして水を濺ぎ遺骸を洗わせ、こうすること約一年を経て四肢身体が少しも腐敗せぬときは、大いに婦人を賞し衣服煙草の類を与えるが、もしこれに反して腐敗することがあると、たちまち婦人を殺して先に葬り、その後に死人を埋めるが、これをウフイと称えている。アイヌ族では棺及び葬具に、その家々の格式による彫刻を入念にするので、一年位を経ぬとこの彫刻が出来上がらぬので、屍体をこうして保存するのだと云うことである。