轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

びょうぶはたたまれた

屏風はたたまれた

山本 周五郎

「文藝春秋」文藝春秋新社、1957(昭和32)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,953 字 · 24 页

青空文庫

三

「はい」と屏風の中で答えるのが聞えた。

婦人は彼に頷いてみせ、廻してある屏風の片方を脇へよせた。緋の毛氈が敷いてあり、香炉をのせた文台の前に、娘が一人、低くうなだれて坐っていた。

「おひきあわせ申します」と婦人が弥十郎に云った、「わたくしのお仕えする嬢さまで、お名は千夜と仰しゃいます、どうぞ、おらくにあそばして、――」

三

それから中一日ずつおいて、「ゆき」からの呼びだしの手紙が三度来た。二度めは初めと同じ中村座の茶屋であったが、三度めは浅草橋場の「川西」という茶屋を指定して来た。弥十郎はどうしようかと迷った。――というのは、一度だけというのをもう三度も逢っているし、相手がなに者だかまだわからず、しかも娘があまりにうぶすぎて、話もろくにしないし、石のように固くなっているため、こっちまでてれてしまい、なんのために逢うのかわからないという按配だったからだ。

千夜という娘はまるで見当がつかない。ゆきという婦人にしても、言葉づかいや動作には武家のような感じがするが、とりもちの巧みさや、酒をすすめたり、さりげなく屏風の中の支度をととのえたりするようすは、大きな商家のわけ知りのばあや、といったふうなところもあった。