轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
やまぶきちょうのさつじん
山吹町の殺人
平林 初之輔
「新青年」1927(昭和2)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,530 字 · 37 页
「あの男には細君があるのかね?」と二人の会話を耳さとくききつけた上野探偵は、突然第二の私服にたずねた。
「細君かどうかは知りませんが、きれいなのがいました。別れるときに泣いて困りました」
「ふん」と言いながら上野は手帳の紙を一枚引きさいて、鉛筆を出して何か書きつけていたが、やがて、給仕をよんで、「君すまないが電報を一つうって来てくれ給え。至急報でね」と言いながら件(くだん)の紙片を渡した。それから佐々木警部に向って、「今の男の住所をちょっとこの子供に教えてあげて下さい、たしか田端(たばた)でしたね」と言った。佐々木はその通りにした。
上野探偵が給仕に渡した紙片には「オオヤクンハムザイ、キヨウジユウニホウメンサルアンシンセヨ」と書いてあった。
「さて」と上野探偵は佐々木警部に向って言った。「もう僕の出る幕はすんだからお暇(いとま)しますかな。しかしちょっと申し上げておきたいことがありますから、どうか別室でお話ししたいと思いますが」
二人はつれだって中へはいった。
「ほかでもないが」と上野探偵は座につくが早いか言った。「大宅君はなるべく早く家へ帰してあげて下さい。