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あずさがわのじょうりゅう

山岳紀行文集 日本アルプス

小島 烏水

小島烏水『山岳紀行文集 日本アルプス』。同一底本的分册已合并为一书。收入:梓川の上流、上高地風景保護論、高山の雪、日本山岳景の特色、雪中富士登山記、雪の白峰、白峰山脈縦断記、谷より峰へ峰より谷へ、不尽の高根。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 138,795 字 · 274 页

青空文庫

登山者の眼中には、金剛不壊の山の本体の前に、永久性の大鳥居がただ一つあるばかりだ。神楽殿の傍には、周囲六丈四尺、根廻りは二丈八尺、と測られた神代杉がそそり立って、割合に背丈は高くないけれど、一つ一つの年輪に、山の歴史の秘密をこめて、年代の威厳が作り出す色づけと輪廓づけを、神さびた境内の空気に行わたらせている。

この吉田口の大社は、大宮口の浅間本社と比較して建築学上、いずれが価値ある築造物であるかを、私は知らないが、大宮口は、山の社であると共に、町の神社で、町民の集団生活と接触するところに、その美しい調和力と親和力が見られるのに対して、吉田の浅間社は、礎石をすえた位置が、町から幾分か離れて、大裾野のひろがり始めるところに存するだけ、構図の取り方が一層大きく、三里の草原を隔てて、富士につながる奔放さは、位置の取り方が一倍と広く、社殿そのものも、天空高く浄められたる久遠の像と、女神の端厳相を仮現する山の美しさを、十分意図にいれ、裏門からの参詣道を、これに南面させて、人類の恭敬を表示したところの、信条的構造と見られる、建築の手法、細故のテクニックにわたっての是非は知らず、楼門廻廊の直線と曲線が、あるいは並び下り、あるいは起き伏すうねりにつれて、丹碧剥落したりとはいえ、燦然たり、赫焉たるに対面して、私はここでもくりかえし