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あずさがわのじょうりゅう
山岳紀行文集 日本アルプス
小島 烏水
小島烏水『山岳紀行文集 日本アルプス』。同一底本的分册已合并为一书。收入:梓川の上流、上高地風景保護論、高山の雪、日本山岳景の特色、雪中富士登山記、雪の白峰、白峰山脈縦断記、谷より峰へ峰より谷へ、不尽の高根。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 138,795 字 · 274 页
しかし旭日章旗のような光線の放射でなく、大きな火の玉というよりも、全身爛焼の火山その物のように、赤々と浮び上った。天上の雲が、いくらか火を含んで、青貝をすったようなつやが出る。それが猫眼石のように、慌だしく変る。大裾野の草木が、めらめらと青く燃える。捨てられた鏡のような山中湖は、反射が強くて、ブリッキ色に固く光った。道志山脈、関東山脈の山々の衣紋は、隆として折目を正した。思いがけなく、落葉松の森林から鐘が鳴った、小刻みな太鼓が木魂のように、山から谷へと朝の空気を震撼した。神主の祝詞が「聞こし召せと、かしこみ、かしこみ」と途切れ途切れに聞える時には、素朴な板葺のかけ茶屋の前を通って、はや小御岳神社へと詣でるころであった。神社の庭には天狗がおもちゃにするというまさかり、かま、太刀などが、散乱している。室の人が、杖に「大願成就」という焼印を押してくれた上に、小御岳の朱印を押した紙に、水引を添えてくれた。これはしかし吉田口の五合目から、富士に向って、左に路を取り、宝永山の火口壁から、その火口底へ下り、大宮方面の大森林に入って、大沢の嶮を越え、小御岳へ出るのが順で、始めて「大願成就」