轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

くずれるおにかげ

崩れる鬼影

海野 十三

「科学の日本」博文館、1933(昭和8)年7月~12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,100 字 · 69 页

青空文庫

「ああ、あの男が居ない。黒田君が居ない」

「そうだ、黒田君が見えんぞ」

黒田君、黒田クーンと呼んで見たが、誰も返事をするものがありません。

「これは穏かでない。では直ちに手分けして黒田を探してこい。進めーッ」

警部は命令を下しました。一同はサッと其の場を散りました。家の中に引かえすもの、門の方へ行くもの、木立の中へ入るもの――僚友の名を呼びつつ大捜索にかかりました。しかし黒田警官の姿は何処にも見当りません。

「警部どの、見当りません」

「どうも可笑しいぞ。どこへ行ったんだろう」

そうこうしているうちに、庭の方を探しに行った組の警官が、息せき切って馳せ帰ってきました。

「警部どの。向うに妙な場所があります」

「妙な場所とは」

「池がこの旱魃で乾上って沼みたいになりかかっているところがあるんです。その沼へ踏みこもうという土の柔いところに、格闘の痕らしいものがあるんです。靴跡が入り乱れています。あんなところで、誰も格闘しなかった筈なんですが、どうも変ですよ」

「そうか、それア可笑しい。直ぐ行ってみよう」

警部さんはその警官を先頭に、急いで乾上った池のところへ駈けつけてみました。