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いわおのはな
巌の花
宮本 百合子
宮本顕治の文芸評論について
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,839 字 · 4 页
『人民の文学』は、ひろく読まれているのに、詳細な書評が少ないのは、この複雑性によるとも考えられる。
宮本顕治の文芸評論をながめわたすと、いくつかの点に心をひかれる。その一つは、著者が若々しい第一作「敗北の文学」及び「過渡期の道標」で示したニュアンスにとみ曲折におどろかない豊潤な資質は、その後の諸論集のなかでどのように展開されただろうかという問題である。
片上伸研究が「過渡期の道標」と題されたことは、示唆的である。著者は、芥川龍之介の敗北の究明とともに、小市民的土壌を自身の生活に否定し、「過渡期の道標」では一歩前進した。「イデェオロギーが情緒感覚の生活にまで泌みわたって、これを支配し変革する」ことがなければプロレタリア文学は真の芸術であり得ないという片上伸の主張とそのためのたたかいを著者は、同情と批判をもって跡づけている。
この初期の二つの評論にはっきりあらわれているように階級の歴史的経験を、自身の実感としないではいられなかった著者が「評価の科学性」(一九三一年)からのち、益々解放運動とその文学運動の中心課題にてい身してゆくにつれ、論策も主としてプロレタリア文化・文学運動の基本的方向の提示とその科学的な方法論にうつって行ったことは現実と実感の必然であった。