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じゅんさじしょく
巡査辞職
夢野 久作
「新青年」1935(昭和10)年11~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,907 字 · 63 页
マユミにもこの事を、よく云い聞かせておいて下さい。呉々も宜しくお頼み申します。
どうぞ御病気を大切にして下さい。
左様なら。
一知より
父上様
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この手紙を見た鶴木検事は、直ぐに警察署へ電話をかけて重要な指令を下した。
その翌日のこと、事件当初の通りの係官の一行と、草川巡査と、区長と、村の青年たちの眼の前で、今まで誰も疑わなかった深良屋敷の肥料小舎の堆肥が徹底的に引っくり返されると、一番下の凝混土に接する処の奥の方から、半腐りになったメリヤスの襯衣に包んだ、ボロボロの手袋と、靴下と、赤錆だらけの藁切庖丁が一梃出て来た。その三品を新聞紙に包んで押収した係官の一行の背後姿を、区長も、青年も土のように血の気を喪ったまま見送っていた。
兇器は甚しく錆ていたので血痕の検出が不可能であった。
しかしそれを突付けられた一知は思わず、
「……シマッタ……やられた……」
と叫んで悲し気に冷笑した切り、文句なしに服罪してしまった。そうして顔色一つ変えずに兇行の顛末を白状した。
一知は中学時代からマユミを恋していた。