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こうがくはくしすえひろきょうじくん

工学博士末広恭二君

寺田 寅彦

「科学」1932(昭和7)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,788 字 · 12 页

青空文庫

最近に出版された John R. Freeman : Earthquake Damege and Earthquake Insurance を見ると、末広君が米国に招かれるに到った由来が明らかになっている。この本の第二十二章に地震研究方針について米国学界への著者の提案が列挙してある。その冒頭に、先ず有能な学者を日本に派遣して大学地震研究所におけるあらゆる研究の模様を習得せしめよということ、次に末広所長を米国に迎えて講演させ、また米国における将来の研究方針についてその助言を求め、また末広式の地震分析器を各所に据え付けて地盤の固有振動の検出を試みよといったようなことが書いてある。巻末に貼紙として添付された刷物には、末広君の講演の梗概と著者の Some After-thoughts が述べてある。この書の著者は米国在来のやり方の不備に飽き足らず末広君の色々な考えにすっかり共鳴したからのことと考えられるのである。同君帰朝後筆者が逢った時に「反響はどうだった」と聞いたら「少しはこちらの研究も刺戟にはなっているらしいね」という答であった。

この講演の旅は末広君にはかなり愉快な旅であったらしくも思われるが、しかしやはり身体にはこたえたではないかと思われる。