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こうがくはくしすえひろきょうじくん
工学博士末広恭二君
寺田 寅彦
「科学」1932(昭和7)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,788 字 · 12 页
卒業後物理学科の聴講に出たり、ベルリン留学中かの地の若い学生の中に交じってブラジウス教授受持の物理実験の初歩のコースを取ったりした事実は、この特徴の由来を想像させるものである。工学部の課目中に物理実験を加えるようになったのも同君並びに同志の諸氏の考えが導因となったもののように記憶するが、この点は筆者の思い違いかもしれない。鋭い直観の力で一遍に当面の問題の心核を掴んでしまう。そうして簡易な解析と手軽な実験によって問題の大きい輪郭を明快に決定するという行き方であったように見える。解析の方法でも、数学者流に先ず最も一般の場合を取扱った後に a=0 b=0 c=0……と置く流儀ではなかったようである。実験の方でも高価な既成の器械を買ってやるよりも、自分で考案した一見じじむさいように見える器械装置を使って、そうして必要なる程度での最良の効果を収めることに興味をもっていたように見える。実験上のテクニックでも人の真似をするよりは何かしら一工夫するのが好きであった。例えば短時間の強い光源としてのアンダーソンの針金の電気爆発を使う代りに水銀のフィラメントの爆発を使ったり、また電扇の研究と聯関して気流の模様を写真するために懐炉灰の火の子を飛ばせるといったようなことも試みた。