轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
じょうしき
常識
豊島 与志雄
「改造」1934(昭和9)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,237 字 · 33 页
、ハイカラボーイだった。香油をぬりたてた頭髪と、縞の絹の襟巻と、女物みたいな細い金鎖とだけで、私にはその人物がすぐに分った。それはあなたの享楽の相手としても危い。私を裏切るための相手としては、あまりにあなた自身をも私をもふみにじるものだった。かりに、芸人だとか、力士だとか、ダンスの教師でも、まだいい。あなたが金をだして買えるような男なら、最もいい。またかりに、あなたが金に困ってるとして、会社の重役などに身を売ったとしても、まだよろしい。そうした一時の享楽の取引は、さっぱりとして、後に滓を残すことは少い。だがああいう男を相手にしては、ねちねちした臭気が身体にこびりつく。あなたのつもりでは、小料理屋の小娘に対する代償として、勝ちほこった見せしめだったかも知れない。然し、かりに私とみよ子との間が、お酌と接客との間のようなものだったと仮定しても、あなたのその評価は全然あべこべだったろう。人間同士の関係として、あなたとあの男とのことよりも、私と小料理屋の娘とのことの方を、私は比較にならぬほど高く評価する。
あの男とあなたのことは、前からいくらか私の気にならないでもなかった。