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ばくまついしんかいこだん

幕末維新懐古談

高村 光雲

12 名高かった店などの印象

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,857 字 · 10 页

青空文庫

「重箱の帰りか、しゃれているぜ」などいったもの。

花川戸から、ずっと、もう一つ河岸の横町が聖天町、それを抜けると待乳山です。

「待乳沈んで、梢乗り込む今戸橋」などいったもの、河岸へ出ると向うに竹屋の渡し船があって、隅田川の流れを隔て墨堤の桜が見える。山谷堀を渡ると、今戸で焼き物の小屋が煙を揚げている。戸沢弁次という陶工が有名であった。

山谷堀には有明楼、大吉、川口、花屋などという意気筋な茶屋が多く、この辺一帯江戸末期の特殊な空気が漂っていました。

また元の道へ引き返して、雷門の前通りを花川戸へ曲がる角に「地蔵の燈籠」といって有名な燈籠があった。古代なものであったが、年号が刻ってないので何時頃のものとも明瞭とは分らぬ。小野の小町の石塔だというかと思えば、弘法大師の作であるとか、いずれも当てにはならぬ。中央に地蔵尊を彫り、傍に一人の僧が敬礼をしており、下の方に、花瓶に蓮を挿してある模様が彫りつけてある。これは西仏といえる人、妻と、男女二子の供養のために建立したものということだけは書きつけてあった。大火の際焼けましたが、破片は今も残っていて、花川戸の何処かの小祠にでも納めてあるでありましょう。