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ばくまついしんかいこだん
幕末維新懐古談
高村 光雲
20 遊芸には縁のなかったはなし
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,520 字 · 5 页
「それでは、まあ、よろしいでしょうが、こういうことはむやみと誰でもが遊ばすことでもないから……」など物堅く、やがて、一応、娘のその踊りの師匠という人に引き合わされなどしてから、
「まあ、お遊びのつもりで、一晩、二晩は御覧なすってお出でなさい、今、お弟子の若い人が稽古をしますから」
と話している処へ、若い男の弟子が来て、そろそろ稽古が始まることになった。
私は部屋の隅の方へチョコナンと正坐りどんなことをするかと見ておりますと、やがて、お袋さんが地を弾き出すと、その若い男の弟子が立って踊り出した。娘のお師匠さんが扇子で手拍子を取って、何んとか声を掛けると、若い男は変な腰つき手つきをして一生懸命に踊っていたが、その状態の変テコなことといっては実に歯が浮き、見ていても顔から火が出るよう……笑止といって好いか、馬鹿々々しいといって好いか、とても顔を上げて正面に見られた図ではありません。
私は、飛んだ処へ軽はずみに飛び込んで、飛んだことをしたと、後悔の念やら、慚愧の冷汗やら、散々なことでありましたが、それにつけても思うには、男と生まれて、こんな馬鹿気た真似の出来るものではない。