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ばくまついしんかいこだん

幕末維新懐古談

高村 光雲

23 家内を貰った頃のはなし

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,891 字 · 10 页

青空文庫

その中ついに善蔵さんは病重り、気息を引き取る際になったが、その際、病人はいろいろと世話になったことを謝し、なお、この上、自分の死後を頼むというのであるらしいが、もはや最後の際でありますから、何をいわれるか、確とは言葉も聞き取れませんが、何しろ、自分の亡き後のことなど私へたのむということであることだけは分る。妻のおきせさんも附き添い、いずれも涙の中に、病人は繰り返し私に頼む頼むと、いいおりますので、私も、病人の心を察し、快く、畏まりました。御心配のないようにといい慰めている中に、ついに病人はそのまま気息を引き取ってしまいました。

それで、おきせさんは未亡人になり、養女お若は血縁の叔父(すなわち餐父)に逝かれ、まことに心細いこととなりました。しかし相当遺産もあり、また里方(東雲師の家)もありますから、未亡人になっても困ることもないが、女の手一つでは穀屋を続けて行くことも出来ないので、店を仕舞いました。

そこで、何んだか、おきせさんは中途半ぱな身になっているので、養女お若の遣り場がないような有様になっている。それで東雲師は、俺の家へお若を伴れて来て置け、何んとか世話をしてやろうなどいっていられるのを私は知っておりましたが、何んとなく、こうした境遇に落ちて来たお若の身の上が気の毒に思われてなりませんでした。