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ばくまついしんかいこだん

幕末維新懐古談

高村 光雲

23 家内を貰った頃のはなし

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,891 字 · 10 页

青空文庫

これは誰から勧められたのでもなく、全く自分の発案であった。

そこで私はまずこの考えを母に話しました。

すると、母もよろこび、この縁を纏めたいという。さて、そうするとなれば、お若は、やっぱり師匠の気息の掛かっているものであるから、師匠にも一応相談をしなければならないが、そこを何んとなく、母から師匠に、母だけの考えとしてお若を貰いたい旨を話してもらうようにたのみました。これは、そうする方が穏当でよかったからでありました。

或る日、母が病中ながら、師匠の家へ出掛け、右の一件を話をすると、師匠は、これはといって大喜び。実は、お若のことはいろいろ心配をしておったが、そこまではちょっと気が廻らなかった。燈台元暗しとはこの事だなど、師匠はこちらからの申し込みを意外と感じてよろこんで、もし幸吉が貰ってくれる段になれば、これに越したことはないが、しかし、幸吉がお若で承知をしてくれるであろうか。元々、私は、この組み合わせは問題にしていなかったのだが……お袋さんだけの考えとあっては、幸吉の承諾がどうも危ぶまれる――など師匠の挨拶。ところが、元来、当人の幸吉が承知の上で、自分で書いた筋でありますから、これほど確かなことはないので、母も、幸吉も万異存はございますまいといって、大喜びで帰って参りました。