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ばくまついしんかいこだん
幕末維新懐古談
高村 光雲
25 初めて博覧会の開かれた当時のことなど
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,264 字 · 7 页
ところが師匠東雲師も美術部の方へ何か出すようにという催促を受けました。師匠も博覧会がいかなるものであるか、一向分っておりません。それでどんなものを出して好いかというと、彫刻師の職掌のものなら、何んでもよろしい出してよい。従来製作しておるものと同じものでよろしいという。それではというので師匠は白衣観音を出品することにしたのでありますが、そこで師匠が私に向い、今度の博覧会で白衣観音を出すことにしたから、これは幸吉お前が引き受けてやってくれ、他の彫刻師たちもそれぞれ出品することであろうから、一生懸命にやってくれということでありました。
私はこうした晴れの場所へ出すものだということだからなかなか気が張ります。師匠の言葉もあることで、腕限りやるつもりで引き受けて、いよいよその製作に取り掛かったのであった。
その白衣観音は今日から考えても別段目先の変ったものではなく、従来の型の如く観音は置き物にするように製作えましたが、厨子などは六角形塗り箔で、六方へ瓔珞を下げて、押し出しはなかなか立派であった。それでその売価はというと、これが不思議な位のことで、観音は大きさが一尺で、材は白檀、充分に手間をかけた念入りの作。