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ばくまついしんかいこだん
幕末維新懐古談
高村 光雲
41 蘆の葉のおもちゃのはなし
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,795 字 · 6 页
で小細工をやって見たい。安閑としてぶらり遊んでいることは嫌いで必ずしも自分の仕事が銭にならなくても、手と脳とを使って自分の意匠を出して物を製えて見ようというのである。それで孫が出来れば、孫のためにおもちゃをこしらえる。引っ越しをすれば、越した先の家の破損を繕う。籬を結い直す。羽目を新しくする、棚を造るとか、勝手元の働き都合の好いように模様を変えるとか、それはまめなもので、一家に取って重宝といってはこの上もない質の人でありました。
それに、元来、稼ぐという道は若い時から苦労をしているから充分に知っている。手術が持ち前で好き上手であるので、道楽半分、数奇半分、慾得ずくでなく、何か自分のこしらえたものをその時々の時候に応じ、場所に適めて、売れるものなら売って見ようというのが父兼松のその頃の楽しみの一つでありましたが、それも買い手が気持よく自分の趣向をおもしろいと思って喜んで買って行けばよし、そうでなければ売る気もない。元手と利益を勘定ずくにしてやる商売ではなく隠居の道楽に、洒落で何か人の気を「なるほど、これは、どうも、おもしろい。好い趣向だ」と感心させて見たいという気分で、これがこの老人に随いて廻った癖でありました。