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ばくまついしんかいこだん

幕末維新懐古談

高村 光雲

53 葉茶屋の狆のはなし

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,390 字 · 7 页

青空文庫

(この国吉は今の山本瑞雲氏の旧名。当時の青年も今は五十以上の老人となっている)。国吉は早速中風呂敷をもって三筋町の葉茶屋へ狆を借りに参り、遠い所でもないので暫くすると抱いて帰りました。

二、三日は座敷に置いて狆の挙動を眺めていた。普通の犬ころなどと異って品の好いものでなかなか賑やかで愛嬌がある。そこで第一に一つ彫り初めました。

今日のように脂土などで原型をこしらえるのでなく、行きなり木をつかまえて彫るのです。何んでも十日という日限りもあることで、一つ写して置けば、後はまた出来るからとまず鑿打ちに掛かり四、五日経って概略狆が出来、これから仕上げに掛かろうという所まで漕ぎつけ、モデルの本物の狆と比べて眺めて見ると、どうやら狆に似ているようである。まずこれならと思って、なお、きまり所など仔細に観ている所へ、かねて懇意の合田義和氏が計らず来訪されました。この人はこの前話した漢法の名医で私の難病を癒してくれた人であります。

「どうですね。お身体は悉皆よくなりましたか」と合田氏はいう。

「お蔭様で。この通り仕事も出来るようになりました。全くこれは貴方のお丹精の賜です」