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ばくまついしんかいこだん
幕末維新懐古談
高村 光雲
55 四頭の狆を製作したはなし
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,232 字 · 11 页
いよいよ狆の製作が出来ました。
先のと、それから「種」のモデルの方が三つです。一つは起って前肢を挙げている(これは葉茶屋の方のです)。一つは寝転んでいる。一つは駆けて来て鞠に戯れている。今一つは四肢で起っている所であった。この四つの製作はいずれも鋳物の原型になるのであるから、材料を特に木彫りとして勘考することもいらぬので、私は檜で彫ることにしました。いうまでもなく、檜の材はなかなか鑿や小刀を撰むもので、やわらかなくせに彫りにくいものですが、材としては古来から無上のものとなっている。荒けずりから仕上げに掛かり、悉皆出来上がって、彫工会へ納めました。
木型が出来ましたので、大島如雲氏はそれを原型として鋳金にしましたが、なかなか能く出来て、原型をさらに仕生かすほどの腕で滞りなく皇居御造営事務局の方へ納まりました。私は、すなわち鋳物の原型を作ったというにとどまるわけであった。
そこで、毎度余り物の値を露わにいうようでおかしいが、これも参考となるべきことですから、いって置かねばなりませんが、私の原型を作った手間がどうかといいますと、狆の丸彫り四つで百円であった。