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ばくまついしんかいこだん

幕末維新懐古談

高村 光雲

55 四頭の狆を製作したはなし

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,232 字 · 11 页

青空文庫

けれども、他の事とは違い、まだ御造営の方へ納めない前に私に陳列してこの製作を公衆へ発表するということは、どうも僭越なことではないかと気遣う向きもありましたが、その心配は山高さんにお聞きすれば直ぐ分ることだと幹部の方で是非出したい方の人の考えで御造営事務局長の職にあられた山高信離氏の池の端七軒町の住家へ人を遣って氏の意向を聞かせますと、それは差し閊えないだろうとの事であったので、とうとう競技会へ製作が持ち出されることになったのでした。

こういうことは皆他のしたことで、私は、出された方が好いものか、悪いものか、最早製作は済んで彫工会へ渡したもので自分の自由にはならない。とにかく同会の幹部たちが出せというので陳列することになりました。

会場の中でも大きな四方硝子の箱の扉をはずして真ん中へ敷き物を敷いて四ツの狆を陳列べました。数が四つというので、見栄がする。見物が大勢それに簇ってなかなか評判がよろしかった。

この競技会の審査員は学芸員の人々また、実技家の主立った人々で、私もその一人でありました。で、いよいよ審査することになると、審査員は困りました。この作品は高村が競技的に自分の作を出したのでなく、彫工会が出品したのであって、御造営の方からの命令で出来た品であるから、それを審査するというはどんなものかというのが