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ばくまついしんかいこだん
幕末維新懐古談
高村 光雲
62 佐竹の原繁昌のはなし
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,422 字 · 3 页
東南に堀があって、南方は佐竹の表門で、その前が三味線堀です。東方が竹町と七軒町の界でこの堀が下谷と浅草の界だと思います。七軒町の取っ附きまでが一丁半位、南北は二丁以上、随分佐竹屋敷は広かったものです。それが取り払われて原となってぼうぼうと雑草が生え、地面はでこぼこして、東京の真ん中にこんな大きな野原があるかと思う位、蛇や蛙やなどの巣で、人通りも稀で、江戸の繁昌が打ち毀されたままで、そうしてまた明治の新しい時代が形にならない間の変な時でありました。
すると、誰の思い附きであったか。この佐竹の原を利用して、今でいうと一つの遊園地のようなものにしようという考え……それほど大仕掛けではないが、ちょっとした興業地を此所へ拵えようと出願したものがあって、原の或る場所へいろいろのものが出来たのであった。まず御定りの活惚れの小屋が掛かる。するとデロレン祭文が出来る(これは浪花節の元です)。いずれも葭簀張りの小屋掛け。それから借り馬、打毬場、吹き矢、大弓、その他色々な大道商売位のもので、これといって足を止め腰を落ち附けて見る物はないが、一つの下等な遊戯場のような形になって来ました。