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ばくまついしんかいこだん

幕末維新懐古談

高村 光雲

65 学校へ奉職した前後のはなし

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 6,302 字 · 13 页

青空文庫

ということ。私はその話を聞いて、あの竹内さんは数寄者で変ったことが好きだから、町内の催しで、変った風をして行列の中に交ったのであろう、元禄風俗を研究したりしていなすったから、きっとその時代の故実を引っ張り出して面白い打扮をやったのであろう、など私は話したことでありました。

その日憲法発布の式場へ参列のため大礼服をつけて官舎を出るところを玄関前で文部大臣の森有礼氏が刺客に刺されたのであった。お目出たいことのあった後の不祥事で人々は驚いていました。

それから、ずっと後になって、私が美術学校へ奉職するようになり、憲法発布式の当日に家内が上野で竹内先生が不思議な風をして行列の中に交っていたという話しの訳が分りました。それは竹内先生はその時美術学校の教官であったので、学校の正服を着けて、学生を率いて式場附近へ参列する途中であったということが分ったのでありました。私は実は早合点をして竹内さんの好みで古代の服装でも真似て町内の行列へ這入ったのだと思ったことで、竹内さんが学校の教師になっていられることなどは少しも知りませんのでした。

憲法発布式のあったのは二月のこと。