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ばくまついしんかいこだん
幕末維新懐古談
高村 光雲
75 不動の像が縁になったはなし
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,071 字 · 6 页
折れた足を継ぎ、無疵にして、私の守り本尊の這入っている観音の祠(これは前におはなしした観音です)の中へ入れて飾って置きました。これは西町時代のことであります。
ちょうどその頃、彼の後藤貞行氏は馬の彫刻のことで私の宅へ稽古に来ていた時分、親しみも一層深くなっていた時ですから、或る日、私の本尊の観音様の祠を開けて見ると、中に小さな不動様の厨子があるので、それを見ると、非常に欲しくなったらしいのです。
初めの中は後藤氏も、あの不動さまは実に好いと褒めていた位でしたが、いかにも心が惹かれたと見えて、
「高村さん、どうか、私に、あの不動さまを譲ってくれませんか。私は一目あれを見てから、どうも欲しくてしようがありません」
という言葉つき。いかにも余念なく見えましたが、
「あれは私の彫刻の参考ですからお譲りするわけに行きません」
私は一応お断わりしました。
すると、後藤君は押し返して、
「そうですか。私は実は酉年で不動さまを信仰しております。私の守り本尊にしたいと思いますから是非どうかお譲り下さい」
と、たっての頼み。
「そうですか。あなたが、あの不動さまを拝むというのならあなたに差し上げましょう。