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ひらがたけとうはんき

平ヶ岳登攀記

高頭 仁兵衛

「山岳 一〇の三」1916(大正5)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,907 字 · 27 页

青空文庫

(米を洗いたる水)のようになるそうである、燧岳図幅に記してある深沢というのがこの沢らしい、シラツキ沢を少しく登ると木ノ葉石があるというので、人夫が取りに行って来た、二時半に此処を出発して只見川の断岸を登って、一時間ばかり行って只見川を徒渉して西岸を辿った、暫く進むと右からマツクラという沢が来ている、マツクラ沢の対岸の岩側が々筋のように見えるから鎧グラ(岩の転か)と呼ばれてある、鎧グラの上方を登るのであるが、これからは人夫が詳細な案内を知らない、登ってから水がないと困るから、まだ四時ではあるが此処に野営することにした、人夫が十尾ばかりの岩魚を釣って来て、今夜は岩魚の寝入っているのを捕えて来るというて、頻りに面桶を入れていた網などを利用して、手網のようなものを製作している、自分は岩魚の寝入っているということを生来はじめて聞いたから、可笑しくなって吹き出したが彼らは真面目も大真面目でいる、夜になると提燈を下げて自分にも同行して見ぬかと勧めたが、岩魚の寝入っているのも見物したいが夜中に巉岩を蹈む勇気もなくて行かなかった、小一時間も過ぎると人夫が帰えって来た、明日の仕度もあるから喰うだけ獲て来たというて、四十尾ほど持って来た、なるほど岩魚も寝入る