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へいわへのにやく
平和への荷役
宮本 百合子
「婦人公論」1948(昭和23)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,799 字 · 23 页
ある国にとって、一つの国が平和の防壁として存在するということの現実もそれと全く同じだと思う。日本のわたしたちは、何を欲しているだろう。平和そのものを自分たちの運命の上に欲していると信じる。そうだとすれば、わたしたちは、日本語を正確に、目的の明瞭にされた表現で使うことに馴れなければならない。憲法の基本的人権の最も煮つめられた表現として、イエスかノーかをはっきり区別して自覚して生きる覚悟が必要である。このたび廃止された勅語の文章をみてわかるように、日本の権力者の文字の使いかたに対する感覚の手のこんでいることは、天皇制の官僚主義が手のこんだ仕組みであるのと等しい。それだのに、どうして平和の防壁とするというような人道的立場から疑問の生じる表現をそのまま流布させたり、共産主義者は新軍国主義者であるという風な世界の事実を偽った言葉をそのままにつかうのだろうか。第一次、第二次世界大戦に、その帝国主義者的侵略に反対したのは、世界の共産主義者、自由主義者、平和主義者であることを、最もよく知っているのは、共産主義ぎらいの人々であり、ファシスト自身であるのに。――
日本の常識からはまだ天皇制の絶対主義・軍国主義と治安維持法のおそろしい影がどいていない。