轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
平林初之輔『平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕』。同一底本的分册已合并为一书。收入:或る探訪記者の話、探偵戯曲 仮面の男、オパール色の手紙、私はかうして死んだ!、祭の夜、秘密、華やかな罪過、動物園の一夜、誰が何故彼を殺したか。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 113,247 字 · 229 页
そして、ひっこしてきてから一週間かそこらしかそこにいなかったので、近所の人は恐らく誰も知らないだろうということであった。それで私は近所をたずねることは断念したが運送屋にきけばすぐにわかるだろうくらいにその時は考えていたのだ。ところが、京染屋のお内儀の話によると、玉村という男の引っ越しの時には、別に運送屋が来た様子はなく、本人はトランク一つもってタクシーで行ったきりで、その翌くる日差配が来て貸家の札をはって行ったということであった。
そこで私は差配の家の番地をきいて、そこへ行ってみた。
「玉村君はどこへ越したかわかりませんか?」
と、私は前から玉村の知りあいのような句調でたずねた。
「一週間ばかり前にお引っ越しになったのですが、どこへとも仰言いませんでした。こんなことがあるといけないと思って、移転先を伺ったのですが、いま番地をおぼえていないからあとで知らせると仰言っていました。でもいまだに何ともご通知がありませんのですよ」
差配のお内儀は、いかにも申し訳なさそうに、私の顔を見ながらこう詫びるように答えた。
「荷物はトランク一つきりだったそうですね?」
「それがね、不思議なんですよ。