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ひらがげんないとりものちょう
平賀源内捕物帳
久生 十蘭
山王祭の大像
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,946 字 · 34 页
こういう芸当が出来るとすれば、後脚の右へはいった佐渡屋の定太郎と、左へはいった瀬田屋藤助」
「尻馬に乗るわけじゃないが、俺の見込みも、大体、その辺だ」
番所までは、そこからほんのひと跨ぎ。
入口の土間の床几に、町内の世話役らしい年配が二人。麻上下の膝へ花笠をひきつけて気遣わしそうな顔つきで控えている。
伝兵衛が入って来たのを見ると、もろともに起ちあがって、
「土州屋さん、年に一度の祭に、こんなくだらねえ騒ぎを仕出かして、面目次第もありません」
「何といったって、ひと一人死んだことだから、穏便というわけにも行きますまいが、そこを、ひとつ、何とか手心を……」
伝兵衛は、頷いて、
「あっしにしたって、何も出ない埃まで叩き出そうというんじゃない。こういうときには針ほどのことにも尾鰭がつくもんだから、出来るだけ内輪にやる気じゃアいるんですが……」
「あなたがそう仰言ってくださると麹町十三丁がホッと息をつきます。どうか、なにぶん……」
「……それで、あなた方が町会所へお寄りになったということを聞きましたから、まア、何といいますか、四人の身性について、引ッ手繰られるお手数だけでも省けるようにと思いまして、倖い、四人のことなら、たいがいわれわれ二人が一伍一什存じておりますから、知っておりますだけのことは逐一申上げるつもりで薬鑵を二つ