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きかがくとくうかん

幾何学と空間

戸坂 潤

「思想 第五六号、第五七号」

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,420 字 · 74 页

青空文庫

即ち二つの空間は部分的内容であるにしても又同時に全体的内容とは独立な統一を持っていなければならなくなる。従ってもはやシュトゥンプフの定義したような部分的内容ではなくなって了う。処がこのことは空間のみが有つ特色である。他の感覚内容は二つ以上の感官に共通であることはない、触覚はただ触官にのみ属している。即ち空間は他の感覚内容と同格な意味で部分的内容であるのではない、ことが明らかとなった。空間表象はこの意味に於て他の感覚内容とは独立でなければならぬ。処が今まで空間表象が根源的である所以はそれが感覚内容であったということに、即ち他の感覚内容と同格な内容であるというにある筈であった。然るに空間は同格ではなくして独立であることが示された。それ故シュトゥンプフの立場からすれば――空間表象は感覚的内容を持つという立場――空間の根源性は否定されなければならなくなる。向に述べたロッツェとカントに対するシュトゥンプフの批評は彼がロッツェ及びカントに於ける空間の根源性をこの理由からして否定している現象に外ならない。而も二人はシュトゥンプフの解釈とは正反対に空間の根源性を主張した。