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はいとうだいのかいちょう

廃灯台の怪鳥

山本 周五郎

「少年少女譚海」博文館、1938(昭和13)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,578 字 · 18 页

青空文庫

宗方博士は不審な面持で新田を覓めた。

「金森博士はコカインの密輸出をやっていたのです。この島が貯蔵所でした。それで我々を此処から立退かせるために、こんな怪談を仕組んだのです。――現場を押えて改心を勧めようと思ったのですが、矢張り博士としては生きていられなかったのでしょう」

「だが、どうしてこの高い場所へ来ることが出来たのか」

「怪鳥は空から来ると申上げました」

新田は静かに説明した。

「博士は空から来たのです」

「――分らん」

「吉井君の手当をしに来た時、博士は落物をして行きました。それはヘリウム瓦斯の受取書でした。なんのためにヘリウム瓦斯が必要でしょう? 気球なのです。気球を使ったのです」

みんなは意外な真相にあっと目を瞠った。

「怪鳥の去った後に、銭蘚苔の細片が落ちていました。僕はそれを中心に捜査を進めたのです。そしてあの岬の松林の中に、同じ蘚苔と、人の足跡をみつけました。博士は其処で気球に瓦斯を詰め、怪鳥の仮装をしたうえ、強い東風を待って灯台へやって来たのです。――さっき僕が猟銃で射ったのはその気球でした。博士はそれを知って、遂に自殺を敢行したのです」