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はいとうだいのかいちょう

廃灯台の怪鳥

山本 周五郎

「少年少女譚海」博文館、1938(昭和13)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,578 字 · 18 页

青空文庫

そう覚悟して、研究の合間をみては灯台の周囲を入念に捜査し始めた。――然し何物も発見されなかった。空翔る翼でもない限り、百五十呎の塔の外側を登る事は出来ない。またどんなに素早くやったところで、誰にも発見されずに螺旋階段を上下する事も出来ないのだ。

「分らん、こんな不思議な事は有得ない、話だけ聞いたら恐らく僕自身でも嘘だと思うだろう、然し事実犯罪は行われたのだ。人間一人が殺されかかったのだ。――あの頸の傷は剥製の怪鳥の爪と合うし、その爪は血まみれだった。つまり、つまりあの怪鳥が吉井を殺しかかったと考えるより他に、どうしても説明がつかない」

新田青年は遂に匙を投げた。

そして丁度一週間めの夜半、第二の事件が起ったのである。然も今度は新田進がその犠牲者であった。――其夜、観測当番に当った新田は、例の頂上の部屋に陣取って熱心に仕事を続けていた。

博士の言葉通り、夜光虫の活動は益々旺んになって、海面は見渡す限り、波の動きに順って明滅する蛍光で青白く輝き、観測鏡で覗くと更にその濃淡強弱の交錯がまるで無数の宝玉の砕片を振撒くかの様に見える。――初のうちは、例の壁の怪鳥に気を取られ、時々そっと振返って見ていたが、遂にそれも忘れて、殆ど夢中で観測に没頭していた。