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まちぼうけぎかいふうけい

待呆け議会風景

宮本 百合子

「週刊朝日」1940(昭和15)年2月18日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,980 字 · 14 页

青空文庫

婦人席の傍に立っている守衛は、上のひとが独断でそうしたが仕方がないとごちゃごちゃいっているところへ、先刻の三人づれが戻って来た。わり込んで腰をおろした女の人たちの二人は、守衛さんが云々とそれを楯に動こうとせず、先着の一人が化粧の顔に怒気を浮べて、わたしはひとの席までとっては、よう座りませんからと啖呵を切るようにしたら、守衛も、ここのところは先着の人に坐らして下さいと仲に入り、二人はぷりぷりして出てゆき、少なからず興奮した三人づれの人たちが辛うじて元へ納まった。傍聴席はどこも退屈だらけの折柄、衆目がこの小競合の上に集った。女のひとは図々しいもんだね。そういう男の声もした。

五、六時間の席に堪えない習慣で暮している日本の婦人たちの体力や着物の条件についても女として考えさせられるし、議会傍聴というようなことが、女の日常にとって何か特別なことと思われていて、来ている婦人が皆それぞれのつてや背景を脊負っていて、それをまた女の狭い未訓練な社会感情のなかで自分に許されるはずの優位のように我ともなく思ったりしているところもあるらしい。そのことが、こんな小競合のなかにも現れて、妙な女の押しつけがましさや、或はそれへの反撥のあくどさともなって来る感じである。