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こころにうずくよっきゅうがある

心に疼く欲求がある

宮本 百合子

「中央公論」文芸特集号第四号、1950(昭和25)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,908 字 · 24 页

青空文庫

大まかに、社会と人間の有機的な諸関係をその歴史の積極な方向――社会主義の展望において描き出す、という規定を土台としているだけである。プロレタリア文学の時代、その最後の段階で、「前衛の目をもって描け」と云われたことは、社会主義リアリズムへ展開して、もとよりその核心に立つ労働者階級の文学の主導性を意味しているのであるが、前衛の眼の多角性と高度な視力は、英雄的ならざる現実、その矛盾、葛藤の底へまで浸透して、そこに歴史がすすみ人間性がより花開くためのモメントとして、目にもたたないさまざまのいきさつまでを発見することを予想している。

歴史は、それについて多くを語らない人々によって変えられている。その現実の詳細を、社会主義リアリズムは、自身の課題としていると思う。

「伸子」につづく「二つの庭」から「道標」の道行きを考えたとき、わたしは、作家として、とても目ざましい、というような方法をとれなかった。「二つの庭」にあるすべては、それらの問題をわりきってしまった者として生きる作家としての自分、などという風な高邁な気風に立って、蜿蜒としてよこたわる中産階級の崩壊の過程と人間変革のテーマを扱う能力は文学的にないし、人間的にない。