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こころのしらべ

心の調べ

宮城 道雄

宮城道雄『心の調べ』。同一底本的分册已合并为一书。收入:心の調べ、雨夜の駅、音の世界に生きる、垣隣り、声と食物、声と性格、声と人柄、五十年をかえりみて、純粋の声、春雨、耳の日記、昔の盲人と外国の盲人、山の声、私のすきな人、私の若い頃、レコード夜話。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,958 字 · 66 页

青空文庫

声と食物

私の経験から歌についていうと、言葉と節とが調和する時と、しない時とがある。従って、外国の歌を日本語に訳した際に、訳され方によって、音と言葉とがあっていないような気がする。殊にオペラなどにおいて、そうした点に無理なところがあるのを感じるのである。そこへ行くと、長年聞き馴れた邦楽は言葉と節とがよくそぐうているような気がする。その最もよい例は義太夫であるが、ただ、現代の言葉と違うために、今の若い人にはその言葉や音の味わいが直ぐわかるかどうか――恐らくわからないことが多いと思う。

義太夫は関西に生れたもので、総てが関西語である。これが東京の発音そのままで語られたら、一つの漫談のたねになることだろうと思う。

現代は交通が便利になって、土地が狭まったようであり、そのため、その土地特有の民謡とか何々音頭とかが沢山出来ていても、純粋にその土地を踏んだことのない人が作ったりする。それはその土地の風景を歌に詠み込んで、一般の人に歌いよいように作曲しているので、別に地方色を現わすのが目的ではないから、それはそれとしてよいが、交通の不便な時代は隣り国といっても遠いことになるから、その土地だけの言葉やその土地の感じを写して自然に生れた民謡が多いので、その土地と曲とがしっくり合っている。