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「しんりしけん」じょ

心理試験

小酒井 不木

小酒井不木『心理試験』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「心理試験」序、外務大臣の死、国枝史郎氏の人物と作品、ヂュパンとカリング、二重人格者、ポオとルヴェル、歴史的探偵小説の興味、誤った鑑定、安死術、恐ろしき贈物、怪談綺談、稀有の犯罪、体格検査、被尾行者、変な恋、「マリー・ロオジェ事件」の研究。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,338 字 · 197 页

青空文庫

ヂュパンとカリング

一

オーギュスト・ヂュパンはポオの三つの探偵小説、「モルグ街の殺人」、「マリー・ロージェー事件」、「盗まれた手紙」にあらわれる探偵であって、いわば、探偵小説にあらわれた探偵の元祖である。もっとも「探偵」なる名称はガボリオーの小説あたりから使用され、ポオはヂュパンのことを別に私立探偵とも素人探偵とも呼ばなかった。

しかしながら、ヂュパンは、「探偵」に必要な条件を殆んど皆、備えているといってもよいのであって、その後にあらわれた小説中の探偵は、その性格に多少の差異こそあれ、ヂュパンの型を脱することが出来なかった。だからヴァンス・トンプソンも、「ポオが『モルグ街の殺人』に於て、ヂュパンを創造したとき、彼は小説中の探偵のすべての型を創造した」と述べている。シャーロック・ホームズは、「緋色の研究」の中にヂュパンを批評して inferior fellow と嘲っているけれども、彼自身はやっぱり、ヂュパンと同じような性質を持ちヂュパンと同じ遣り方によって事件を解決しているのである。実際、シャーロック・ホームズを創造したコーナン・ドイル自身が、「探偵小説作家は、必ずポオの足痕を踏んで行かねばならぬ」