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「しんりしけん」じょ
心理試験
小酒井 不木
小酒井不木『心理試験』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「心理試験」序、外務大臣の死、国枝史郎氏の人物と作品、ヂュパンとカリング、二重人格者、ポオとルヴェル、歴史的探偵小説の興味、誤った鑑定、安死術、恐ろしき贈物、怪談綺談、稀有の犯罪、体格検査、被尾行者、変な恋、「マリー・ロオジェ事件」の研究。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,338 字 · 197 页
情にも動かされるし、恋もする。この点が所謂「探偵型」にはまっていないかも知れないが、そのために、私たちに親しみを持たせることは事実である。
ガボリオーの書いたルコックは変装が非常に巧みであるが、カリングもまたルコックに劣らぬ変装好きである。変装の好きなということは冒険好きであることを意味し、これまた、若い読者に親しみを感ぜしめる。「仕込杖」と、「四つのクラブの一」には彼の変装振りの如何に巧みであるかということが遺憾なく描かれてあるが、「仕込杖」の中では、実に、彼はカリングという素人探偵と、レルネルという職業的探偵の二役をつとめて読者をあッと言わせている。
この、変装をしたがる癖の外には、彼には別に特種の癖というものがない。ヂュパンの癖は前に述べたが、ホームズに、コカインと音楽を偏愛する癖のあることは読者のよく知っていられるところである。カリングは探偵になるまでによく社会の暗黒面に出入りしては人間研究をする癖があったが、探偵になってからは、そうした癖はなくなった。一般に、深い人間研究をしなくては名探偵になることが出来ぬけれど、人間研究の結果、彼は人間らしい探偵となって、探偵らしい探偵とならなかったために、私たちをしてなつかしみを覚えしめるのである。