轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ただなおきょうぎょうじょうき

忠直卿行状記

菊池 寛

在线阅读菊池 寛《忠直卿行状記(ただなおきょうぎょうじょうき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,602 字 · 47 页

青空文庫

我らごときは、もはや殿のお相手は仕りかねます」と申し上げた。大坂陣の話をさえすれば、忠直卿は他愛もなく機嫌がよかった。

が、忠直卿もいたく酔ってしまった。一座を見ると、正体もなく酔い潰れている者が大分多くなっている。管をまく者もある、小声で隆達節を唄っている者もある。酒宴の興は、ほとんど尽きかけている。

忠直卿はふと奥殿に漲っている異性のことを思い出すと、男ばかりの酒宴が殺風景に思われて来た。彼はつと立って、

「皆の者許せ!」といい捨てたまま座を立った。さすがに酔い潰れた者も、居住いを正して平伏した。今まで眠りかけていた小姓たちは、はっと目をさまして主君の後を追った。

忠直卿が、奥殿へ続く長廊下へ出ると、冷たい初秋の風が頬に快かった。見ると、外は十日ばかりの薄月夜で、萩の花がほの白く咲きこぼれている辺から、虫の声さえ聞えて来る。

忠直卿は、庭へ下りてみたくなった。奥殿からの迎いの侍女たちを帰して、小姓を一人連れたまま、庭に下り立った。庭の面には、夜露がしっとりと降りている。微かな月光が、城下の街を玲瓏と澄み渡る夜の大気のうちに、墨絵のごとく浮ばせている。