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かいきじんぞうとう
怪奇人造島
寺島 柾史
「日本少年 付録」1937(昭和12)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,159 字 · 87 页
一 怪汽船と怪老人
どろぼう船
冷凍船虎丸には、僕(山路健二)のほかに、もう一人ボーイがいた。それは、南京生れの陳秀峰と、自ら名乗る紅顔の美少年だ。
ピコル船長附のボーイだから、僕のような、雑役夫にひとしいボーイと、めったに話合う機会もなかったが、船が函館港を出帆し、北上してから三昼夜目、すでに北千島圏内に入ったある日、後甲板で、二人は、ひょっこり出会った。すると、陳君は、流暢な日本語で、僕にそっと話かけた。
「カナダのH・G汽船会社の所属船が、どうして、僕等のような東洋人を雇うのか、君は、知っているかい」
まるで、少女のように優しい声だ。僕は、何となく親しみを覚えて、
「それは、東洋人は、安い給金で雇えるからだろう」
「うん、それもある。だが、もっと他にも理由があるよ。だいち、この船は、どろぼう船だってことを、君は、知ってやしまい」
「え! どろぼう船?」
「叱ッ!……この船はね、表面は、カナダから日本の北千島へ、紅鮭を買いにいく冷凍船とみせかけているが、じつは、千島の無人島で、ラッコやオットセイを密猟する、国際的どろぼう船なのさ」
「へえ。