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かいきじんぞうとう

怪奇人造島

寺島 柾史

「日本少年 付録」1937(昭和12)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,159 字 · 87 页

青空文庫

「ワハハハハハハ」

と、突破ったような笑声が起った。それは、豪快な笑いにかかわらず、僕にも、豹のような水夫にも、死人の笑いのように冷たくきこえたので、振りかえった。

おおそこには、いつのまに現われたのか、船室の降り口のところに、白衣を着た、白髪の老人が、亡霊のように立っているではないか。しかも、彼は、歯の無い口を開いて、

「ワハハハハハハ。おまえたち、甲板のうえで、生命のやり取をしても無駄だろうぜ」

と、不気味に、冷たく笑った。

「てめえは、誰だ」

豹のような水夫は、恐怖におびえた眼で、怪老人を睨めつけながら云った。

「わしこそは、この船の主人じゃ。おまえたち、生命のやり取を、止めて、はやく、この船を退散しろ」

「何を!」

水夫は、こんどは、亡霊のような怪老人に、ピストルを向けた。

「ワハハハハハ。若いの、そいつは無駄さ。おまえが、わしの胸を射貫いても、この船には長く居られまいぞ」

「え! 何故だ」

「船底の、火薬庫が、あと三分で、爆発するだろ」

「えッ!」

「わしは、たった今、火薬庫に、導火線を投入れ、その先に火を点けて来たのさ。導火線は、あと三分。いや二分で、燃え尽きるだろう」