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かいきじんぞうとう

怪奇人造島

寺島 柾史

「日本少年 付録」1937(昭和12)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,159 字 · 87 页

青空文庫

「えッ!」

豹のような水夫は、これをきくと、反射的に駈け出した。たぶん、端艇を探し廻ろうというのだろう。だが、端艇は一艘も本船に残っていない。これに気がつくと、水夫は、真蒼になって顫え上った。

僕は、このまに船橋の柱に架けてあった浮袋を外して、それを身に着けた。何しろ、あと二、三分で、一千五百噸の汽船が、爆破して、木葉微塵になるのだ。愚図愚図していられない。僕は、素早く浮袋を身に着けると、そのまま、身を躍らして、海中に飛込んだ。

このさまをみた、豹のような水夫も、急いで、浮袋を身に着けると、僕にならって、海中へ身を躍らした。

亡霊の仕業か

北太平洋の浪は、さすがに高かった。

僕も、水夫も、巨浪に飜弄されながら、懸命に、本船から遠ざかろうと努めた。

が、二分経っても、五分過ぎても、冷凍船虎丸の火薬庫は爆発しそうにもなく、本船は悠々潮流に乗って、可成りの速さで、僕等を遠ざかって往く。しかも、甲板のうえでは、白衣の怪老人は、僕等を見送りながら、相変らず、冷笑をうかべている。

「失策った!」

僕は、おもわず叫んだ。

「ど、どうした?」

水夫は、飛沫を避けながら、僕の方へ近寄ってきて訊ねた。