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かいきじんぞうとう

怪奇人造島

寺島 柾史

「日本少年 付録」1937(昭和12)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,159 字 · 87 页

青空文庫

老博士は格納庫の火焔に、上半身を照らしながら、語気を強めて、

「わしは、すでに、この人造島の心臓部を握った。飛行機はみんな焼けてしまった。おまえたちは、自由を失ったのだ。よいか、わしに反抗するものがあったら、わしは、ここにいる味方の一人に命じて、動力機関を、一挙に破壊してしまうだろう。おまえたちが、この動力所へ殺到し、われわれを銃剣で突刺すまえに、発動機の機能は、めちゃめちゃになってしまうが、どうだ」

と、宣告を与えた。が、戸外に佇む敵の一隊は、怒りと怖れのために、一語も発するものがない。完全に心臓部をつかまれているからだ。

格納庫は、まだ旺んに燃えている。しかしトラスト型の鉄骨と、飛行機の形骸を、無慚にも曝して、はや、火焔も終りに近かった。老博士は、敵の銃口に身を曝しながら、なおも言葉をつづける。

「沈黙を守っているのは、無抵抗の意志と認める。飛行機は、あのとおり無惨な姿になってしまったから、いくら暴れても、この島を脱れることは出来ないだろう。どうだ。和睦せぬか。心臓部を握るわれわれと握手して、この人造島を、大陸へ向けて移動せしめることに同意せぬか」