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かいきじんぞうとう

怪奇人造島

寺島 柾史

「日本少年 付録」1937(昭和12)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,159 字 · 87 页

青空文庫

手を入れて、つかみ出したのは、銃弾に射貫かれて、めちゃめちゃに砕けた陳君の心臓だった。

「ほう、これは、台無しだ」

二つの心臓を両手に持って、やや暫く眺めていたが、銃弾に砕かれた陳君の心臓を、ひょいと海へ投げすてて、大男の心臓を、ていねいに消毒して、陳君の左胸部の穴へ押込んだ。

怪老人は、大男の心臓を、陳君の左胸部へ移し植え、血管をつぎ合したり、収斂、止血剤を施したり、大童になって仕事をつづけたが、やがて、左胸部の創を縫合せてしまうと、ほっと一息入れ、

「もうこれでよし」と、自信ありげに、独り呟いた。ややあって、陳君の屍骸の白蝋のような顔に、一抹の血がのぼると、

「う……」と、呻きだし、微かに身動きした。

「おお、やっと生きかえったかな。わしの大手術の成功じゃ」怪老人は、陳君の屍骸の手を執って、脈搏を数えはじめた。

船長室のベッドに寝かされてから、やっと、陳君は、我にかえった。

「はてな、僕は生きていたのかしら」

ふしぎで堪らない。豹のような水夫に背後からピストルを射たれ、左胸部を貫通され、ばったり甲板に斃れたはずの自分が、船長室のベッドのうえで、意識を取返すなんか、有りうべからざることだ。