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かいきじんぞうとう
怪奇人造島
寺島 柾史
「日本少年 付録」1937(昭和12)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,159 字 · 87 页
「試験台にされて堪るものですか。僕は、あんたの奴隷ではありません」
陳君は、怪老人の手を振り切って、船室を逃れ出た。いっさんに中甲板まで駈け上って、ほっとすると、あとから、老人の、不気味な声が、
「こら、遠慮するなよ、わしの、この碧い、宝石のような眼を、おまえに与えるというのじゃ、その東洋人の、汚らしい眼と、取替えて見よう」
陳君は、それには応えず、後甲板の方へ逃げた。
「こら、小僧、待たぬか」
怪老人は、あくまで執拗に追かけてくる。舷灯の無い、暗い甲板だが、星の光で、四辺の様子がうかがわれる。物かげに身を潜めていると、怪老人は、よろよろと後甲板へやって来た。
「小僧、どこに居る?……。わしの、自由になってくれ。科学のためじゃ。わしの学説を完成させる、最後の試験台だ。わしのために、犠牲になってくれ」怪老人は、後甲板の彼方此方を、探し廻っている。物かげに身を潜めている陳君は、このとき、全身の血のたぎるのを感じ、荒々しい息遣いになって来た。彼の足は、力強く、物かげを出て往く。そして、よろよろ四辺を探し廻る老人の前に、立塞った。
「さあ、じいさん。僕を自由にできたらやって見給え。