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かいきじんぞうとう
怪奇人造島
寺島 柾史
「日本少年 付録」1937(昭和12)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,159 字 · 87 页
「…………」怪老人は、陳君を尊い科学の犠牲に供したいとねがうのだ。人命を勝手に科学実験に利用するのは罪悪だが、しかし、科学者の真剣さも買ってやらねばならない。
「もし、わしの実験が失敗して、おまえが、そのまま生き還ることがなかったら、わしも、責任を負うて、この甲板で、おまえのあとを追って死ぬ。わし一人が、おめおめと生き永えはせぬぞ。わしに見込まれて、不幸だとあきらめてくれ」
「わかりました。僕が学問の犠牲に、よろこんで成りましょう」
「おお、よく理解してくれた。それでこそ、わしの見込んだ少年だった」
怪老人は、手を伸して、陳君の手を握り締めた。
四 幽霊船と幽霊船
物語は、再び運命の方船に戻る。
人造島が、海洋の真ん中で、みごとに溶けて、白堊の建物が、運命の方船として、波間にうかび上ってから、はや二月は経った。方船は、島の上に建っていた建物だから、普通の船のようなわけにはいかない。その半身以上を海に没し、建物の中も海水で充満している。まるで難破した水船だ。
人々は、方船の屋根に取すがって、波を避けているに過ぎなく、雨露を凌ぐことさえ出来ず、食料も、飲料水も、十分に用意することが出来なかったので、二月の漂流で、すでに、それらのものも尽きてしまった。