轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あしのうら

怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像

蘭 郁二郎

蘭郁二郎『怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像』。同一底本的分册已合并为一书。收入:足の裏、穴、息を止める男、腐った蜉蝣、幻聴、孤独、舌打する、植物人間、蝕眠譜、自殺、鉄路、脳波操縦士、古傷、鱗粉。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 109,233 字 · 223 页

青空文庫

だから今朝看護人の隙を見て遁げだして来たんです、ざまあみやがれだ』

その男はそういうと、如何にも可笑そうに、不遠慮な大声を上げて笑い出したのであった。

その不規則な狂人の笑い声を聞くと同時に、中田は、後頭部にスーッとしたものを感じ、先っきから何かしら得体の知れぬ、不思議な戦慄の原因が、やっと解ってきたように思われた。

何という莫迦なことをしたのであろう、中田はそう思った。例え失望と無茶酒で、頭が平衡を失っていたとはいえ、俺はこの気違いと一緒に、何時間かの間この荒野を彷徨よい、狂人の奇怪な幻想の数々を、如何にも感心しながら聞いていたのか、と思うと何んともいえぬ莫迦莫迦しい腹立たしさを感じたのであった。

(莫迦にしてやがる――)

中田は、ぶつぶつと悪口を呟きながら、顔をそらすと、ハッキリした当はないのだが、どうやら駅らしい方へ、どんどん歩き出した。それを見た男は、急に周章てたように

『君、君――』

と後から呼びかけた。だが中田は、もう返事どころか、振向きもしないで、ずんずん先の方へ歩き続けていた。

三

中田は歩きながら、茲この頃、ひどく不運つづきの自分自身に、全く愛想がつき果てて思わず大きな溜息を排き出した。