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あしのうら

怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像

蘭 郁二郎

蘭郁二郎『怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像』。同一底本的分册已合并为一书。收入:足の裏、穴、息を止める男、腐った蜉蝣、幻聴、孤独、舌打する、植物人間、蝕眠譜、自殺、鉄路、脳波操縦士、古傷、鱗粉。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 109,233 字 · 223 页

青空文庫

けれど、それは山鹿を庇う、というのではなく、寧ろ何かの場合に、山鹿を打ち前倒す為のキャスチングボートとして、ここでむざむざ喋ってしまうことを惜しんだ気持が、無意識に働いたものらしかった。

さて、漸く御用済みとなった二人は、用意よく山鹿の持って来たカンテラを頼りに、帰路についた。

山鹿は、あの「気がついてみると、前方を慥に白服の男とあの少女との二人が歩いていた――」といった鷺太郎の言葉が、なぜかひどく気にかかると見えて、

『ね白藤さん、いったいその二人は、どの辺から来ましたかね……』

とか、

『どんな様子でした、その男は――』

とか、執拗いまでに、訊くのであった。鷺太郎は、

『いや――、さあ、どの辺だったかな……、でも二人いたのは慥ですよ』

と軽く、面倒臭げに答え乍ら、心の中では、

(やっぱり、山鹿の奴は怪しい……)

と、一緒に、

(見ろ、その中、その高慢な鼻を、叩き折ってやる――)

と歓声を挙げたい優越を感じていた。

――鷺太郎が相手にならないので、いつか山鹿も黙ってしまうと、二人は黙々として、細い絶入りそうなカンテラのゆれる灯影を頼りに、夜路を歩きつづけていた。