轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あしのうら
怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像
蘭 郁二郎
蘭郁二郎『怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像』。同一底本的分册已合并为一书。收入:足の裏、穴、息を止める男、腐った蜉蝣、幻聴、孤独、舌打する、植物人間、蝕眠譜、自殺、鉄路、脳波操縦士、古傷、鱗粉。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 109,233 字 · 223 页
ただ、その間、あの殺人の事件は、早くも看護婦の間にも拡まったらしく、盛に噂は聞くのだけれど、可怪しなことには、その殺された美少女の身元は勿論、名前さえも、杳として不明であったのだ。
それは朝刊にも、又、早くも届けられた、インクの匂いのぷうんとする夕刊にも、不明とばかり報ぜられていた。
それは実に不思議なことだった。
あれほどの美少女が殺されながら、そして、新聞に写真まで出され、警察でも必死の活動をしているのであろうに、更にわからなかった。
被害者の身許もわからない、ということは、今の捜査法では手のつけられぬ難物なのである。
この豪華なK――海浜都市で行われた殺人の、その類まれなほどの断髪洋装の(その身なりから見て、中流以上の者であることは、想像されたが)美少女の身許が、まるで木の股から生れたものであるかのように、全く解らない、というのは実もっておかしな話であった。而も、それはこの事件に終止符が打たれてしまってからも、遂にわからなかったのである――。
×
――軈て、日が暮れ、このSサナトリウムにも灯がともった。
鷺太郎は、この日一日位、焦燥を感じた日はなかった。